“理想の家族像”に縛られていない?─本当にやりたいを見つけるための視点転換
青峰
なんかさ、ちょっと前にAさんと話をしたら結婚の話が出てね。
そのとき、いいなって思って連れて行った人がいたんだけど、親に反対されて結局ダメになって…。何度かそういうことがあって、だんだん結婚と距離を置くようになったらしいんだよね。
で、「一人の方が気楽だな」って思うようになったって。
紗織
あー、それあるよね。プレッシャーとかもあるし。
青峰
そうそう。
その他にも、たとえばデート中に高速のインターで予定外に降りたりしたい時に、「ああ、じゃあこのままこっち行ってみようか」って臨機応変に動きたいのに、相手がそれをよしとしなかったりすると、すごくストレスになるんだって。
だから、「やっぱり一人の方が気が楽だなあ」って。
青峰
でもね、世界中いろんなところ行ってみたいって気持ちはあるの。横にパートナーがいたらいいなとは思ってるんだけどね。
でね、昔、イベントで5時間くらいの上映会みたいなのがあった時、左隣の女性とやたら肩がぶつかることがあったんだって。なんかいい感じの人だったから、話しかけようかなと思ったんだけど、「突然話しかけたら変に思われるかな」と思ってやめたらしいの。
でも最終的には寝ちゃって、起きたらまた肩ぶつかって「すみません…」って、そこからちょっと話ができたって(笑)。
紗織
え、それ、面白い(笑)!
青峰
そうやね。
で、話をすすめていくと、その人に「こうしたい」っていう願望があるんだけど、その後に出てくる解説がめっちゃ長いの。「でも親が…」「でも昔の経験が…」って。
だから、それをひとつひとつほぐしながら話していく感じなんだよね。
青峰
で、「自分のやりたいことって、すぐには出てこないんですね…」って話になって。
「やりたいことは?」って聞いたら、「家族が欲しい」っていうのがまず最初に出てきて。
家族ができたら何がしたいか、っていう順番で考えてる人って、まずその“前提”を解かないと、その後が出てこないんだよね。
「家族を持ってから、何をするか」っていう発想だと、「じゃあそもそもなぜ家族が欲しいのか」っていう問いが必要になる。
青峰
でも「結婚してるかどうか」と「どんな仕事をするか」って、本来は関係ないはずなんだけど、そういうのをごっちゃにして話してると、どんどん混乱してくる。
「こういう仕事をしたい」→「だからこういう人がいい」とか、「相手にこう思われたいから」ってなって、全部がズレていく。
青峰
本当は、「自分はどんな状態でいたいのか?」が先にあるべきで、そういう状態でいたら、それに合った人が自然と現れるんだよ。
「こういう人がいい」とか、「こういう相手がいたらこうしたい」っていうのは、もう一回全部横に置いて、自分自身の状態を見直してほしいんだよね。
青峰
2020年くらいまでは、「結婚=補い合う関係」っていうのが多かった気がする。
一人が外で働いて、もう一人が家を守る、みたいな役割分担ね。
でも、それがうまくいかなかった例も多くて。たとえば、子どもが欲しかったのに、相手は働き続けてて価値観が合わなくて離婚したって話もあった。
紗織
そっか。その人はすごく子どもが欲しいんだね。
青峰
そう。家族を持ちたいって言ってたんだけど、その「家族」っていうのは子どもも含めての話みたいだった。
紗織
なるほどね。パートナーとだけの関係だと“家族”とはまた違うんだ。
青峰
うん。でね、それって「理想の家族像」みたいなのが先にあるから、それに当てはめようとしてしまうんだよね。
「その形になれば幸せになれる」って思い込んでる。
紗織
なんか寂しいな…って感じる瞬間に、「あ、これは家族がいないからだ」って勝手に紐づけちゃってるんだろうね。
青峰
そうそう。でも実際、幸せっていうのはただの“定義”なんだよね。
「こういう条件を満たしたら幸せ」って、自分でたくさん定義を持ってて、それを達成するゲームをやってる感じ。
青峰
でもそれって、本来の自分の本質とは関係ないんだよ。
条件としての”幸せ”と、やりたいことをやる“喜び”は全然違う。
楽しいと幸せが全く違うように。
紗織
うん。それ、気づいてない人、多いと思う。
引っかかりを覚えるのは、自分がやりたいこと
青峰
面白かったのがね。
ある人がトランプが60歳で子どもを持ったってニュースを見たときに、「無責任だな」って感じたらしいんだよ。
紗織
えー、そうなんだ。
青峰
でもさ、それって実はその人自身の中に「子どもが大きくなるまで責任を持って関わらなきゃいけない」っていう観念があるからなんだよね。
で、それが自分にはできないと思ってるから、「60歳で子どもを持つなんて無責任だ」って、トランプに投影したわけ。
青峰
でもさ、「何歳まで生きるつもりなんですか?」って聞いたら「80歳」って。
じゃあ、今50歳で子どもが生まれても、その子が22歳になるまで一緒にいられるんだよね。
紗織
…それってトランプと同じじゃん。
青峰
そうなのよ。なのにトランプには無責任だって言ってるけど、自分が同じことする可能性は否定してる。
要は、自分が本当にやりたいことに制限かけてるのは、自分自身の観念なんだよね。
紗織
うわぁ…ローンの話みたいだね(笑)
青峰
ほんとそれ(笑)。しかも、人って「自分がしたいこと」をやってる人を見ると、無意識にイラッとしたり、否定したくなったりするじゃん?
その人も本当は「何歳になっても子どもが欲しい」って思ってるんだよね。でもそれが叶わないと思ってるから、外側に矛先が向く。
紗織
ってことは、ほんとはやりたいってことだよね。
紗織
なんか、気になることとしては。
年上が好きな人と年下が好きな人、なんでそんなにはっきり分かれるんかなって。
たまたまその時の年齢なのか、それともパターン的なもんなのか。
青峰
うーん、それ認識の中にパターンがあると思う。
なんか、関わる人がみんな2歳下になる人とか、絶対年上になる人とかさ。
でもそれって、好き嫌いというより「認識」だよね。
青峰
実際、年齢ってただの情報でしかなくて、「40歳だからこう」っていうのも本当は意味がない。
「年齢」って、ただの時間の区切りなんだよ。
女性は40歳超えたら妊娠しない…とかも幻想でしょ?
70歳で出産した人だっているし。
紗織
70歳で出産したというのは、その話だと無責任と言われそうだね。
青峰
でもさ、その論理で言ったら、僕の母親が亡くなったのも無責任になるの?って話になる。
事故や病気だったらOK?
みたいな条件がくっついてるから、どんどん論理がおかしくなっていく。
青峰
結局、何歳まで生きるかなんて誰にもわからないから、年齢での判断って意味がない。
トランプだって100歳まで生きるかもしれないし、これから寿命も延びていくだろうし。
パートナーシップの本質について話した講演はこちら(アーカイブなのですぐ観れます)

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